Diary



3月1日(土)


日中の気温は11℃まで上がり、ほんとうに暖かくなりました。先日フクジュ
ソウの開花を確認した南斜面の雪はみんな溶けてしまっていて、数輪の花が
咲いていました。他の場所も見に行ってみると、すでに咲いているところが
あって、びっくりです。ずっとこのままの暖かさというわけではないので、
いきなり完全な春というわけではないですが、季節感が狂いそうです。  



3月2日(日)


今日も暖かく本当に春のような空になっていました。タンチョウの行動も春
っぽくなっていて、のんびりしたものでした。9時の給餌のときはタンチョ
ウ70羽にたいして人間100人と、あいかわらずの混雑ぶり。それでも昼頃に
なるとタンチョウはどこかに行ってしまい10羽ほどしか残っていなくて、も
うじき給餌シーズンも終わりになりそうです。乾いたコーンよりも、自然の
ものの方が美味しいですよね。                    



3月3日(月)


冷え込みが戻ってきたので凍っているかと湖の様子を見に行ってみると、風
が強くて氷も割れてしまっていました。もっと風が強ければ寄せ凍りとなっ
て積み上げられるのかもしれませんが、そこまでではなく風下に割れた氷が
集まっているだけでした。昨シーズンは3月中頃に御神渡りができていたの
ですが、今シーズンはもう無理のような感じがします。         



3月4日(火)


今朝もマイナス15℃となっていて、川に近いところではダイヤモンドダスト
が見られました。それほど規模が大きものではないので、写真として見せら
れるのはこんな感じなってしまいました。起伏のある地形なら、もう少しわ
かりやすく見せられるかと思うのですが、このあたりは真っ平ですから。季
節の変わり目となっているので、ゆっくりと自然の変化を見ていきます。 



3月5日(水)


最近、エゾシカの姿をよく見かけます。一時期は雪がなくて山にいたものが
降りてきているのだと思います。このところ気温差が大きく溶けた雪が凍り
ついてしまっているようで、雪を掘るのではなく木の枝や皮を食べている姿
が目立ちました。道路脇も雪が溶けているところが多くシカが出てくる可能
性が高いので、しばらくはシカの飛び出しに気をつけないといけませんね。



3月6日(木)


一日雪が降るという予報だったので期待して給餌場に行ってみましたが、パ
ラパラと降った程度で雪の中の撮影という感じにはなりませんでした。タン
チョウの動きもまばらで、この周辺に縄張りを持つ個体がご飯を食べてのん
びりするのに集まっているのではと、知人と話をしながら見ていました。ち
ょっと早い感じもしますが、そろそろ給餌場シーズンも終了ですかね。  



3月7日(金)


湿原の湖にはオオヒシクイの群れが帰ってきていました。湖面が見えるよう
になってきたのはここ最近なのですが、どうしてこのタイミングが分かるの
でしょうか。いきものが持つ感覚はとても不思議です。他にも春の気配を感
じられるものがいくつかあったので、いいタイミングを見逃さないようにし
ていきたいと思います。                       



3月8日(土)


湖面が凍ってハクチョウが飛んでくるのを期待していましたが、よほど飛ぶ
のが嫌だったのか、氷を割りながらズイズイと進んできました。まるで砕氷
船のようで見ていて面白かったのですが、先頭にいたハクチョウは後続につ
つかれたりしてかわいそうでした。あとからついていけば楽できますから、
ちゃっかりしたものです。それにしてもいきものの行動が変わってしまった
感じがします。何が起きているのでしょうか。             



3月9日(日)


1日フィールドをのんびりと見ていました。これといった動きはなかったで
すが、暖かくポカポカしてゆっくりできたという感じです。いきものたちも
あまり姿を見せてくれなくてどうしたのかなと思ったものの、どこかでのん
びりしていたのでしょう。雪溶けも進んでいるので、地面が出てきたところ
や木が活動を始めたところに移動しているのかもと考えています。    



3月10日(月)


かなり暖かくなり、給餌場では頻繁に交尾の行動が見られました。ゆったり
と羽を広げる姿は、まるジュディ・オングのような優雅さがあって、あの動
きはタンチョウのものなんだなぁって思いました。人間の生活は自然によっ
て守られ、自然から学ぶものが多いのに、どうしてもっと大切にできないの
か不思議です。失ったら取り戻せないかけがえのないものなのですから。 



3月11日(火)


森を歩いていたら、モモンガと出会いました。ふだんは夜行性ですが、今の
時期は繁殖期なので日中に行動することもあるようです。しばらくシラカバ
の芽を食べてから、森に帰っていきました。リスも木の上で素早く行動しま
すが、モモンガはそれ以上に敏捷でびっくりしました。こんなにかわいい顔
をしているので、人気者になるのも仕方ないですね。また会えるのを楽しみ
にしています。                           



3月12日(水)


今日で今シーズンの給餌が終了するということなので、じっくりとタンチョ
ウを見てきました。気温が高くなったせいもあると思いますが、思いのほか
動きもあって、けっこうシャッターを押していました。シーズン全体を思い
返すと目立った動きはなかったですが、終わりよければすべてよしと思うこ
とにします。これからは本格的に春探しですね。            



3月13日(木)


一時期頻繁に通っていた摩周湖ですが、このところきれいな景色が期待でき
ず足が遠のいていました。今日はちょうどいい時間に月が昇ってくる日なの
で、見に行ってみました。日没側に雲が出ていて理想よりも早く夕陽が隠れ
てしまいましたが、ほんのりと雲が赤く色づいていい雰囲気でした。この数
日気温が高いせいで、雪は一気に溶けてなくなっています。このあとは緑が
芽吹くまでちょっと寂しい景色になりそうですね。           



3月14日(金)


湿原の中の木道を歩いていたらエゾリスが面白い行動を見せてくれました。
巣材を口に咥えていて、どこから持っていくのかと見ていたら、木の皮では
なくて、ヤチ坊主の枯れ草をせっせと採っては丸めていました。これまで見
てきた巣材集めはすべて木の皮を剥いでいるところだったので、これは個人
的に新発見でした。すごい写真ではないですが、意味がある写真を撮れたの
で、ラッキーでした。                        



3月15日(土)


ヤナギの穂がだいぶ膨らんできました。今シーズンはあまり見かけないかと
思っていたら、目線の高さにある穂はエゾシカに食べられてしまっているよ
うで、高いところにしか残っていませんでした。おかげで撮りにくくて、い
ろいろ探して、やっと目線の高さの穂をみつけて撮ることができました。ま
だ雪が降るようですが、ひとつひとつ春の景色を探していこうと思います。



3月16日(日)


湖畔にできた寄せ氷、じっくり見ていたら見事な彩氷となっていました。こ
んな感じに肉眼で見えるわけではないので、写真ならではの表現と言えると
思います。その後もゆっくり湖畔を見ていると、風が強くなってきて寄せ氷
ができていました。昔見たようなドラマチックなでき方ではなかったものの
景色の変化を楽しむことができました。                



3月17日(月)


春の嵐がやってきました。これまでの雪とは違い、けっこうな量が降ってい
ます。一度撮影に出かけたのですが、除雪も間に合っていないうえに湿った
雪で、少し積もっているところに車を乗り入れると簡単にスタックするので
諦めて帰ってきました。今シーズンはずっと雪が少なかったので、辻褄合わ
せの雪でもあるのでしょう。どうせなら冬のはじめにドカッと降って欲しか
ったです。                             



3月18日(火)


一気に積雪量が増えましたが、場所によっては地面が出ているところもあっ
て、そんな場所では春の小鳥の姿を見ることができました。このシメはお腹
いっぱいだったのでしょうか、のんびりしていました。他にもツグミの大き
な群れがいたりして、季節が変わったのを感じられました。最近はベニヒワ
やキレンジャクなどを見ていないので、会いたいですね。        



3月19日(水)


冬のような春のような、中途半端な景色が続いています。朝は霧氷がついた
景色を撮影したあと、小鳥を探してみたり定番のハクチョウの様子を見てま
わったりしていました。今シーズンは小鳥の姿も少なくて、ちょっと寂しい
感じがします。湖畔ではまだ氷の造形も見られて、まだしばらくは冬っぽい
景色が中心になるのかと思いながら撮影していました。         



3月20日(木)


湿原にあるコロニーでは、アオサギが巣作りを始めていました。いつもとは
ちょっと離れたところにたくさん集まっていて、ここが中心となるのか、い
つもの場所も利用するのかは、もう少し様子を見てみないとわかりません。
営巣する場所が移動するということはなにか条件が変わってしまったという
ことなのでしょうから、ちょっと気になりますね。           



3月21日(金)


先日ツララが付いていた湖畔も氷がほとんど溶けてしまい、寂しい感じにな
っていました。しばらくハクチョウを見ていても大きな動きはなくのんびり
でしたし、風があったせいで小鳥も少なかったように思います。うろうろと
探し回って、なんとか彩氷を見つけることができました。自然の変化は思っ
ているよりも激しく、同じ景色がいつも撮れるとは限らないですね。   



3月22日(土)


今日はキタキツネを見かけることが多かったです。この子はフサフサして元
気そうでしたが、疥癬にかかってかわいそうな見た目のものもいました。昔
疥癬でキタキツネが減ったことがあったのですが、いまはどうなっているの
でしょう。そういえば、家の庭に来ていた軽い疥癬のキタキツネも最近はみ
かけなくなりました。どうしているのでしょうか。           



3月23日(日)


森を歩いていたら小鳥たちの姿がよく見られました。このオオアカゲラをは
じめ、アカゲラやシマエナガ、キクイタダキなどこのところにしては多くの
種類が見られてラッキーでした。風が強かったので、風が当たらないところ
に集まってきていたのかもしれません。小鳥たちはジッとしていないので、
なかなか写真に撮らせてもらうのは大変ですが、楽しかったです。    



3月24日(月)


エゾリスに遊んでもらいました。雪もどんどん溶けていて、ポカポカして
いるので、いきものも活発に動いていますね。ただ、どこに行っても小鳥
が少ないという話で寂しい限りです。小鳥以前に虫なども少ないようで、
最近の極端な気候についていけていないのでしょうか。虫などは人間が絶
滅しても残っていそう感じがするんですけど。            



3月25日(火)


今年もユキワリソウを見ることができました。八分咲きとなっていましたが
全体に花が小さくて元気がない感じがしました。これも昨年からの気候が影
響しているのでしょうか。このところ毎年見にきていますが、寂しい感じが
しました。もともと寒い地域の花ですから、夏が暑いとか雪が少ないとかが
あると耐えられないのかもしれないですね。              



3月26日(水)


山梨のアジトに到着しました。この時期としては気温が高くて過ごしやすい
のですが、暑いですね。庭の様子を見ていたらシカの糞があったり地面を掘
り返した跡がありました。この前雪が降った時にでも入ってきていたのでし
ょうか。さらに掘り返したところの近くに立派な角が落ちていました。掘っ
ているときに抜けたのかもしれませんが、ずいぶんでかい牡鹿が来ていたこ
とがわかりました。雑草も食べておいてくれるといいですけど。     



3月27日(木)


ぜんぜん様子がわからないので、近所をうろうろしながらロケハンしていま
した。サクラは場所によっては咲いているところもあって、これから色鮮や
かな景色になりそうです。小鳥の巣作りなども見られて、いろいろ楽しませ
てもらいました。カタクリは群生地に向かったものの、どうも以前撮影した
場所に辿り着けなくて、ちょっと消化不良でした。記憶違いなのかなぁ。 



3月28日(金)


まだ花が咲いているところが限られているので、じっくりゆっくりと撮影し
ています。それでも昨日満開だったハクモクレンは一気に花びら落ちてきて
いましたし、この暑さで花の開花は一気に進んでいる感じです。エドヒガン
ザクラのあたりでヒヨドリの声がするので待っていたら、シジミチョウがや
ってきました。まだタンポポも見かけないので、貴重な蜜源なのですね。そ
ういえば、ホトケノザなど春の雑草と言われる花もすっかり見かけなくなっ
た気がします。                           



3月29日(土)


いままでの暖かさが嘘のような冷たい雨の一日になりました。しばらく気温
は低めになるようで、サクラの開花も落ち着くでしょうか。それともこの後
の晴れ間で一気に咲いてしまうのもあるかもしれません。気温差が大きいの
で、いきものたちがちょっと心配です。暖かさにつられて春が来たと勘違い
して出てきたものもいることでしょうから。              



3月30日(日)


だいぶサクラが見頃になっているところも増えています。ただ、見に行って
見ると、このところの雪や風のせいで枝が折れたり切られたりしているとこ
ろが目立っていて、木の形が悪くなってしまったものが多いです。ソメイヨ
シノも寿命が近いところが多いと聞いていましたが、他のサクラも同じよう
な感じかもしれません。このシダレザクラもなんかいびつなんですよね。 



3月31日(月)


朝は霰がパラパラと降るような冷え込みでした。サクラの山を歩いたあとに
このところ観察を続けているところへ行ってみたら、いろいろ小鳥が遊んで
くれました。小雨が降り出してメジロの群れが去ったあと、キジがひっそり
と出てきていました。声はしていたのでいるのはわかっていましたが、姿を
見せてくれるとは思いませんでした。こういう出会いがあると、出かけてよ
かったと思えますね。